モルモットについて
モルモットは南米に生息している、パンパステンジクネズミ、ペルーテンジクネズミなどを家畜化してできた種類です。
そのため、野生にはいません。
始まりは食用でしたが、ヨーロッパに伝わると、ペットとして飼育されるようになりました。
日本には19世紀にオランダ人が長崎に連れてきたことで伝わり、明治時代にはペットとして飼育されていたそうです。
今現在はペットはもちろん。子供の教育のために学校や動物園などの施設で飼育されたり、人間に近い構造をしているために実験動物として飼育されています。また、アニマルセラピーとしても活躍しています。
【分類】齧歯目ーテンジクネズミ上科ーテンジクネズミ科ーテンジクネズミ属
【品種】
イングリッシュ:短い直毛でつむじはない。 毛質はノーマルとサテン(被毛に光沢と艶がある)があります。アメリカンともいう。
シェルティー:長い直毛でつむじはない。頭部の毛は短く、脇が長めです。シルキーともいう。
テディ:短い縮れ毛でつむじはない。レックスとは似ていますが別品種です。
テッセル:長い縮れ毛でつむじはない。頭部の毛は短く、胴体はウェーブのかかり長めです。
アビシニアン:短い直毛で全身につむじがみられる。イングリッシュと同様にノーマルとサテンに分けられます。
ペルビアン:長い直毛でお尻に巻き毛がみられる。頭部と背部の毛が長くなります。アンゴラモルモットともいう。
クレステッド:短い直毛で頭部にのみつむじと冠毛(クレスト)がみられる。イングリッシュクレステッド(体と同じ毛色)と
アメリカンクレステッド(体と異なる毛色)に分けられます。
コロネット:長い直毛で頭部にのみつむじと冠毛がみられる。
メリノ:長いカール毛で頭部にのみつむじと冠毛がみられる。珍しい品種。
アルパカ:長いカール毛。珍しい品種。
スキニ:毛が無い。鼻、頭、手足などに毛があるタイプと無毛のタイプがある。ヘアレスモルモットともいう。
【体格】体長:20~40cm
体重:0.5~1.5kg(一般的にメスよりもオスのほうが大きいです)
【性格】個体差はあるが比較的大人しく、表現豊かな動物です。ですが、警戒心が強く、臆病でストレスに敏感。
【コミュニケーション】
・鳴き声 キュイン!キュイン!:強い訴え。ご飯の時、怖い時、嫌な時。時と場合でどの感情なのかを判断します。
クイックイッ:構ってほしい時。撫でてあげたり、遊んであげたりしましょう。
プイプイ、ホニョホニョ:小さい声の場合はご機嫌、大きい声の場合はおねだり。
ルルルル~:心地いい時、うれしい時、求愛。食事中は美味しいという感情になります。
キー!キー!:恐怖や怒り。とても嫌がってる証拠なので、原因を取り除いてあげましょう。
クルルル…:警戒している時。
・行動 小さく跳ねる:興奮している。子供ははしゃいでいる時、大人は気にくわない時にします。
人の手を舐める:リラックス、親愛。うれしい時、甘えてる時にします。
人に寄り添う:懐いてる証。寄り添うことでくつろいでいます。
人に寄って来る:親愛、遊んでほしい。不安な時には守ってほしくて寄ってきます。
頭を手に押しつける:撫でてほしい時、甘えてる時。
膝に乗ってくる:親愛の証。遊んでほしいサイン。
後肢を伸ばして寝転ぶ:とてもリラックスしています。
歯を鳴らす:怒り。カツカツと歯を鳴らします。イライラしているので、構わないようにしましょう。
頭で手を押しあげる:構わないでほしいサイン。機嫌が悪い時、嫌なことされた時、なでなでに満足した時にします。
爪を立ててかたまる:怯えている。毛を逆立てたり、体勢を低くする場合もあります。
ストレスになるので原因を取り除き、安静にしましょう。
ケージの隅に駆け込む:恐怖、驚き、パニック。小さくジャンプすることもあります。
【寿命】平均5~10年。個体や飼育方法によって上下します。
【性別】基本的にはオスの方が大きく、鳴いたりします。逆にメスは穏やかな個体が多いといわれていますが、個体により性格はバラバラ。
生殖器:オス…丸い形。陰嚢と包皮が見られます。 個体によっては、大きめの睾丸が見られる子もいます。
メス…Y字型。
正確性に欠けますが、ウンチでも雌雄判別ができます。オスはバナナ型、メスは俵型。オスでも俵型のウンチをする子がいるので、
生殖器の確認ができるようなら、そちらを見ていただくのがおすすめです。
中には、見れないショップもあるので、その場合はウンチをみて簡易的に判断してみてください。
購入時の注意点
モルモット初心者の方でこだわりがないのであれば、短毛種の1匹飼いがおすすめです。
慣れてきたら、長毛種や無毛種を飼育したり、多頭飼いするのも良いと思います。
多指症(指の数が1本多い症状)の個体がまれにいます。奇形ですが、健康状態に影響はでません。
メスのモルモットで異様におなかが大きい個体がいたら、妊娠している可能性があります。管理している方に確認しましょう。
飼育方法
【ケージ】
モルモット用のケージはあるが少ないため、ウサギ用や小動物用ケージ、犬用のサークルでも飼育可能です。
中には、手作りしている方もいます。 自分が管理しやすいものを選ぶことをお勧めします。掃除は週1回以上してください。
金網のすのこや硬い床は角質増多や足底皮膚炎の原因になるのでやめましょう。すのこを使用する場合は、足を休める場所をつくってください。
床材はペットシーツ、牧草、マット、柔らかいタオルなどが使用できます。床材は色々な組み合わせができるので、その子の性格に
あわせて選んでください。足の裏に被毛がないので、平らで柔らかく、爪や指がひっかからないような床がいいと思います。
【ハウス】
モルモットは隠れ家があると安心する動物です。木や牧草のハウス、布製のハウスや寝袋など、種類がたくさんあります。中には手作りする方もいます。何でもかじる子には、かじられても問題ない素材(木や牧草など)のものを選ぶといいでしょう。個体によって好みや性格が違うので、その子にあった素材や形のものを選んでください。
【器・給水器】
フードは浅くて重量のある器か固定式の器が、ひっくり返らないのでおすすめです。
モルモットはごはんを口に含みながら飲水するので、給水ボトルに汚れがたまりやすいです。なので、ブラシで定期的に洗って下さい。 給水ボトルが苦手な子には、固定式の器を使用することをおすすめします。
食用の牧草は器か牧草入れにいれて与えてください。床に敷いた牧草は、糞尿がついていて不衛生ですので、食用にするのは控えた方がいいと思います。
【餌】
牧草+ペレット+副菜+水が基本となります。
モルモットはビタミンcを体内で合成できない動物です。モルモット用のペレットはビタミンCが強化配合されているので、そちらを与えてください。ペレットと一緒に副菜やサプリメントを補助的に与えて頂くのもお勧めします。ビタミンCは水溶性ビタミンなので、多少摂取しすぎても特に問題ありません。
牧草…栄養もあり、繊維質の多いチモシーを与えて頂くことをお勧めします。チモシー以外を与える場合はおやつ程度にしましょう。
成長期の子や妊娠・授乳中、病中の子は栄養価の高いアルファルファを与えてください。
モルモットは常生歯ですので、牧草キューブも入れてあげるといいでしょう。
ペレット…モルモット用のを与えて頂くのがお勧め。ミックスフードは好きなものしか食べない子がいるので、控えてください。
硬すぎるペレットは、歯茎を痛めてしまうので避けましょう。年齢やその子の状態に合わせた硬さやペレットの種類にしてあげましょう。
1日2回与えてください。1日約10~20g程度与えてください。
副菜…食欲増進、ビタミンCの補給のために与えます。1日2回、1日約250gまでにしましょう。与えすぎると軟便になったり、
ペレットを食べなくなったりします。
カルシウムは尿石症の原因になるので、カルシウムの多い野菜は避けましょう。ビタミンCが豊富かつカルシウムの少ない野菜(パプリカ、ブロッコリー、カリフラワー、トマトなど)をメインに与えましょう。
ビタミンCを破壊する酵素が含まれている野菜(人参、キャベツ、ホウレンソウ、キュウリなど)はたまに少量を与える程度にしましょう。
果実類(イチゴ、オレンジ、キウイなど)は糖分が高いので、少量にしましょう。
【温度管理】
温度:18~24℃(スキニーは20~26℃) 湿度:40~60%
温度管理のために、ケージの近くに湿度もわかる温度計を置きましょう。
夏:エアコン、扇風機、凍ったペットボトル、ひんやりマット(大理石、ステンレスなど)を使用したり、
ケージのカバーを通気性の良いものやすだれに替えるなどの工夫をして、暑さ対策をしてください。
冬:エアコン、ストーブ、加湿器(濡れタオル)、ペットヒーター、厚めのケージカバーなどを使用して、
寒さ対策をしましょう。低温やけどを避けるため、ペットヒーターを敷くところは一部にしましょう。
エアコンやストーブは定期的に掃除しましょう。フィルターはこまめに掃除してください。
【グルーミング】
グルーミングは被毛をきれいにするだけでなく、外部寄生虫や皮膚疾患を確認できたり、コミュニケーションの一環にもなります。
また、モルモットは嘔吐ができない動物です。飲み込んだものは排泄でしか出せません。グルーミングは毛球症予防にも繋がります。
・ブラッシング
ブラッシングは毛並みに沿ってしてください。
短毛種:1~2週間に一回。換毛期は1週間に2~3回してください。
長毛種:毎日して下さい。お尻周りは排泄物で汚れやすいので、定期的にカットすることをおすすめします。
・爪切り
爪切りも定期的に行ってください。爪は弧を描くように伸びます。伸ばし続けていると、歩きにくいのはもちろん、マットやすのこに引っかかってしまいます。足の裏に刺さってしまったり、指や爪が曲がってしまう原因にもなります。
小動物用の爪切りを使うのがおすすめです。ハサミタイプとギロチンタイプがあるので、使いやすい方を選んでください。
爪にも血管が通っています。血管の1~2㎜くらい先で切ってください。黒爪の場合はスマホのライトや懐中電灯などをあてると、血管が見えやすくなります。出血してしまった場合はティッシュで圧迫止血するか、小麦粉をすりこんで下さい。
・入浴
水浴びをする動物ではないので、必ず必要というわけではありません。排泄物で汚れた時や臭いが気になる時のみ洗いましょう。
過度に入浴すると、ストレスになったり、脂分が取れて肌や被毛が乾燥したり、フケやかゆみの原因にもなります。
シャンプーについては賛否両論です。使う場合は、小動物用やモルモット用のを使用してください。
入浴後はタオル(柔らかく清潔なものやペットタオル)で水気をしっかり取り、ブロー(ドライヤー)をします。
ブローもストレスになるので、こまめに休憩をはさみつつ早めに乾かしましょう。毛の根本まで乾かすために、毛を分けながらブローをして下さい。ブローを嫌がってしまたら、風量を下げたり、休憩したり、おしりだけブローして、後はタオルドライにしたり、モルモットが嫌がらないように工夫してみてください。
主な病気
皮膚疾患
【足底皮膚炎】
・原因
金網や硬い床等の不適切な床材の使用や肥満傾向、ビタミンCの欠乏など。
・症状
初期:足の裏が赤く腫脹。
悪化:たこのように硬くなったり、潰瘍ができ二次感染(多くは黄色ブドウ球菌)をおこします。かさぶたがはがれると、出血を伴う。
重症化:骨髄炎(細菌、真菌等による骨の感染症)になります。
痛みによる食欲不振や元気がなくなったり、歩行を嫌がったりします。
・予防
金網や硬い床等を使用しないか、使用する場合は柔らかい床材で足を休めるところを作ってください。適切な量の食事や栄養素を与えてください。
定期的に足の裏を見て、触って異常ない確認すること。重症化する前に診察に来てください。
【角質増多】
・原因
金網や硬い床等の不適切な床材の使用や肥満。
・症状
角質が増えて足の裏が硬くなる。特に害はないのですが、角質が大きくなると出血する可能性があります。
・予防
金網や硬い床等を使用しないか、使用する場合は柔らかい床材で足を休めるところを作ってください。適切な量の食事や栄養素を与えてください。
【真菌性皮膚疾患(皮膚糸状菌症など)】
・原因
皮膚糸状菌(カビの仲間)に感染。若齢のモルモットや免疫不全のモルモット、テディやサテンなどの品種が感染しやすいです。
接触や媒介物、感染動物の抜けた被毛などからも感染します。
不衛生な飼育環境、ストレス、過密飼育なども原因になります。
・症状
頭部、顔、手足、耳、背部にリング状の脱毛や白い粉状欠片が見られます。かゆみやかさぶた、かゆみによる自咬。
キャリア(病原菌を持っていても無症状な個体)もいます。
・予防
衛生的な飼育環境の維持。適切な個体管理など。
【細菌性膿皮症(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌など)】
・原因
主に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などに感染します。
外傷、過度のグルーミング、自咬や歯科疾患によるよだれによる二次感染。
・症状
脱毛、かゆみ、化膿、紅斑、かさぶた、潰瘍や腫瘍など。
・予防
衛生的な飼育環境の維持。過度のグルーミングを控えたり、よだれがでていたらふいてあげたりして下さい。
歯科疾患や傷がある場合は、受診して下さい。
【口唇炎】
・原因
酸性のフード、尖ったフードが刺さるなどの物理的刺激。真菌や細菌の二次感染でもなります。
・症状
口唇にかさぶた。食欲不振。
・予防
酸性のフードを与えない。真菌や細菌による感染症をすみやかに治療すること。
【脱毛症】
(非対称性)
・原因
ビタミンC欠乏症、ストレス、それによる毛咬みなど。
・症状
脱毛、自咬など。
・予防
ビタミンCをしっかり与えてください。基礎疾患を持っていたり、ストレスを抱えてる個体は、ビタミンCの要求量が増加します。
ストレスの要因を減らすか取り除いてください。自咬してしまう場合は、傷か治るまでエリザベスカラーを付けてください。
(左右対称性)
・原因
性ホルモンの異常(主に卵巣嚢胞)で多くみられます。左右対称性脱毛と肥満がみられたら、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の可能性もあります。
妊娠後期や多くの子供を授かった母親、授乳中の栄養状態が悪い母親にもみられます。
・症状
左右対称性脱毛が脇腹、腹部、背部にみられます。脱毛しない個体もいます。かゆみはありません。
・予防
妊娠中や授乳中の栄養管理をしっかりすること。むやみに妊娠させてはいけません。
【バーバリング】
・原因
ストレス
・症状
毛引きしたり、毛かじりをします。
・予防
ストレスとなる要因を取り除いたり、飼育環境を変えたりしましょう。
【穿孔ヒゼンダニ(疥癬)】
・原因
モルモットセンコウヒゼンダニの寄生。
・症状
激しい痒みや自傷による傷、炎症性の白いフケ、かさぶた。慢性化すると、色素沈着や苔癬化(皮膚が分厚くなること)、フケ、脱毛などがみられます。重症化すると、痙攣発作をおこします。
感染した個体から人への感染もします。人の症状は激しい痒みです。人が感染した場合は、皮膚科へ受診してください。
・予防
衛生的な飼育環境の維持。
多頭飼いの場合は、感染した個体、その個体が触れたものと感染してない個体を接触させないでください。感染した個体が出た場合、感染していない個体も一緒に駆虫を行ってください。
物や床にも成虫や卵が付着します。感染個体が使用したハウスやタオル、触れたおもちゃなどは消毒を毎日しましょう。消毒液が使用できなもの(木材、タオル)は熱湯消毒してください。洗濯できるものは、消毒してからダニ除け洗剤で洗うといいでしょう。
【ズツキダニ】
・原因
モルモットズツキダニの寄生。
・症状
被毛に黒い点(ズツキダニ)が多く付着します。白い被毛だと見つけやすいです。
健康な個体では無症状ですが、免疫力が低下していたり、全身の健康状態の悪化している個体は、紅斑や脱毛、フケなどがでます。
・予防
衛生的な飼育環境の維持。被毛の手入れを怠らない。
体調を崩している可能性もありますので、受診することをおすすめします。
多頭飼いの場合は、感染した個体、その個体が触れたものと感染してない個体を接触させないでください。感染した個体が出た場合、感染していない個体も一緒に駆虫を行ってください。
物や床にも成虫や卵が付着します。感染個体が使用したハウスやタオル、触れたおもちゃなどは消毒を毎日しましょう。消毒液が使用できなもの(木材、タオル)は熱湯消毒してください。洗濯できるものは、消毒してからダニ除け洗剤で洗うといいでしょう。
【ニキビダニ】
・原因
モルモットニキビダニの寄生。垂直感染(授乳中の接触感染)だと
・症状
基本的には無症状。脱毛、紅斑、ニキビのようなできものやかさぶたなど。免疫力が低下すると寄生虫の数が増えます。
・予防
衛生的な飼育環境の維持。
多頭飼いの場合は、感染した個体、その個体が触れたものと感染してない個体を接触させないでください。感染した個体が出た場合、感染していない個体も一緒に駆虫を行ってください。
物や床にも成虫や卵が付着します。感染個体が使用したハウスやタオル、触れたおもちゃなどは消毒を毎日しましょう。消毒液が使用できなもの(木材、タオル)は熱湯消毒してください。洗濯できるものは、消毒してからダニ除け洗剤で洗うといいでしょう。
【ハジラミ】
・原因
カビアハジラミ(細長い虫)、カビアマルハジラミ(卵型の虫)の寄生。
・症状
基本的に無症状。重症化すると、脱毛、毛質が悪くなる、かさぶたや痒みなどがみられます。
人やその他の動物へ感染する可能性は低いです。
毛にシラミ(白い毛のようなもの)がみられます。
・予防
衛生的な飼育環境の維持。
多頭飼いの場合は、感染した個体、その個体が触れたものと感染してない個体を接触させないでください。感染した個体が出た場合、感染していない個体も一緒に駆虫を行ってください。
物や床にも成虫や卵が付着します。感染個体が使用したハウスやタオル、触れたおもちゃなどは消毒を毎日しましょう。消毒液が使用できなもの(木材、タオル)は熱湯消毒してください。洗濯できるものは、消毒してからダニ除け洗剤で洗うといいでしょう。
消化器疾患
【不正咬合】
・原因
切歯(前歯)は、金網のケージや硬いものをかじることでなります。臼歯(奥歯)は、食物繊維不足により十分に歯が削れないためなります。
・症状
よだれ、食欲不振(食べたいけど食べれない様子や痛くて食べる気がない様子)、口腔内(主に頬粘膜)の損傷、歯ぎしりなど。切歯(前歯)の場合は、口唇を持ち上げれば容易に確認できます。
膿瘍ができ下顎や頬が腫れたり、目が普段より飛び出て見えたりする子もいます。
・予防
ビターアップルを塗るなど工夫をして、金網ケージをかじらせないようにしましょう。繊維質の多いチモシーを与えてください。定期的に健診に来ることがおすすめです。
【消化管うっ滞(鼓腸症=ガスが胃腸にガスが溜まる事)】
・原因
毛や異物、ガスが消化管に溜まってしまうことでなります。濡れたマメ科植物(アルファルファなど)を与えることでもなります。
・症状
食欲低下、元気消失。おなかに張りがある。ウンチの量が減少したり、小さくなったりします。
・予防
ブラッシングをする。異物をかじらせない。嘔吐やゲップができない動物ですので、排泄できなければ溜まる一方です。
妊娠中や病中でない限りマメ科植物(アルファルファなど)を控えること。
チモシーや生牧草、野菜など毎日与えること。
【肝リピドーシス(脂肪肝)】
・原因
肥満した子が長期間にわたり、食欲不振などでエサが食べれなくなると発症します。肝臓に脂肪が過剰蓄積してなります。
・症状
初期は無症状。その後、肝硬変、高脂血症などになります。
・予防
肥満にさせないこと。肥満の子が食欲不振になったら、病院へお越しください。心配でしたら、定期的に血液検査を行ってください。
【細菌性腸炎】
・原因
細菌(サルモネラ、クロストリジウム、大腸菌など)による感染。汚染物の経口感染。
・症状
下痢、食欲不振。流産や結膜炎(サルモネラ感染症)。ティザー病(クロストリジウム)。肝臓・腸・リンパ節に膿瘍(仮性結核菌)。
妊娠中や若齢、免疫力が低下している個体で症状がみられます。
・予防
繊維質の高い食事を与えましょう。毎日糞やモルモットの観察をして下さい。
【内部寄生虫】
(コクシジウム)
・原因
コクシジウムが寄生。
・症状
無症状。若齢や免疫力が低下していると、下痢、体重減少を呈します。
・予防
衛生的な環境の維持。定期的に便検査をすること。
(クリプトスポリジウム)
・原因
クリプトスポリジウムの寄生。
・症状
小腸性下痢。
小腸性下痢 | 大腸性下痢 | |
排便回数 | 少ない | 多い |
1回の排便量 | 多い | 少ない |
出血を伴う場合の便 | 黒色便(タール便) | 鮮血便 |
体重減少 | あり | なし |
しぶり(したいのになかなか出ないこと) | なし | あり |
・予防
衛生的な環境の維持。定期的に便検査をすること。
(モルモット蟯虫)
・原因
モルモット蟯虫の寄生。
・症状
無症状。免疫力が低下していると、下痢や体重減少などを呈します。
・予防
衛生的な環境の維持。定期的に便検査をすること。
【抗生物質関連性腸毒素血症】
・原因
特定の抗生物質の経口投与。(セファレキシン、ペニシリンなど)
・症状
腸内環境が悪くなるため、下痢や出血性盲腸炎を呈する。食欲不振、低体温、脱水も起こる。
主に下痢になるため、下痢がみられたら抗生物質を経口投与していないか確認してください。
【宿便】
・原因
細菌感染や肛門括約筋の筋力低下、食糞の減少など。高齢のオスで多くみられます。
・症状
オス…分泌物の蓄積 メス…妊娠に伴う食糞回数の減少や筋力低下
排便困難、悪臭のする軟便や便秘など。