ウサギは他の動物と違い、カルシウムをビタミンD3に依存することなくダイレクトに腸管から吸収することが出来ます。
食餌中に含まれているカルシウムが増えれば体内のカルシウムも増えます。
体内の余分なカルシウムは腎臓でろ過され、尿となって体外へ排泄されますので、 カルシウムの多い食餌を与えると、尿中のカルシウムも増えることになります。
カルシウムの多い尿は白くにごって見え、しばらく尿を置いておきますとカルシウム成分が 沈殿します 。
カルシウムが固まりだして、セメント状、砂状となると、膀胱から外に排泄することが出来なくなる 場合があります(写真5)。
さらにカルシウムが固まって結石を作ると、膀胱内壁を傷つけるばかりでなく、 尿道をふさいでしまうこともあります(写真6)。

写真5 膀胱内のカルシウム

写真6 膀胱結石
ウサギは犬猫と違い、尿中の結晶を処方食によって溶かすことが出来ないため、カルシウムが固まって砂や石になってしまったら、外科的手術をして取り除く他に方法がありません。
ですから、カルシウム結石が出来ないよう予防することが大切です。
尿中のカルシウムを減らすには、食餌中に含まれているカルシウム量を減らします。
カルシウムが少ない植物として知られているのはチモシー、オーチャードグラス、イタリアングラス などのイネ科の植物です。
また最近ではカルシウム含量の少ない処方食が各メーカーから販売されるようになってきたので、そのような処方食を利用する方法もあります。
ご家庭のウサギが白く濁った尿を出しているようでしたら、高カルシウム尿症の可能性があります。
また結石が膀胱内に出来ていても、完全に尿道を閉塞しなければ尿は出ますので、飼い主が気づかないうちに結石が出来ていることがあります。
その場合、触診で結石を確認できることもありますが、多くの場合はレントゲンを撮らなければ結石を確認することは困難です。
上記の疾患は、食生活の改善が予防、もしくは改善に大きく関わってきます。 ご自分のウサギがどのようなえさを食べているか、チェックしてみてください。
そして、よりよい食餌内容に改善していくようにしましょう。
ウサギはえさが変わると食べなくなることが多いので、はじめは嫌がって食べないかもしれません。
特に長期間ペレット主体の食生活を送ってきたウサギに顕著です。
いきなりがらっと変えるのではなく、徐々に牧草の割合が多くなるように変えていくといいでしょう。
また、干草より生牧草の方が嗜好性が高く、栄養価も高いので、 生牧草を積極的に利用することをお勧めします。