名前のとおりですが、首が傾いたまま戻らなくなる疾患です。
時には天井を向いてしまうくらいまで首が傾いてしまう場合もあります。
斜頚になるとうまく体のバランスがとれず転倒したり、ローリング(転げまわる)、眼振を起こしたりもします。
斜頚と一言で言っても原因はいくつかあり、時にはいくつかの原因が併発している場合もあります。
以下は主に斜頚の原因となるものです。
パスツレラ感染症
Pasteurella multocida(パスツレラマルトシダ)の感染によるものです。
パスツレラの感染によって中耳炎や内耳炎を起こし た場合、前庭神経障害が起こり、その結果斜頚になることがあります。
エンセファリトゾーン(Ez)症
Encephalitozoon cuniculiの感染によるものです。
エンセファリトゾーンは微胞子虫という寄生虫で、主に中枢神経系、および腎臓に寄生します。
Ez症は伝染病であり、特に多頭飼いをしている場合に感染する確率が高くなります 。
接触のほか、尿中に排泄されたエンセファリトゾーンの芽胞の経口摂取、胎盤を通して、などが感染経路です。
通常、不顕性感染ですが、ほかの病気やストレスなどによってウサギの免疫力が低下したときに斜頚などの神経症状を発症する場合があります。
感染の有無の確認は血液検査によって行います。
治療は主に駆虫薬の投薬を行いますが、神経の障害の度合いにより治療にうまく反応しない場合もあります。
斜頚は比較的早期であれば、治療にうまく反応してくれることもあります。
はじめはバランスがうまくとれず転げまわってしまいますが、じきになれて、バランスをうまくとってえさも自分で食べることができるようになってきます。
はじめのうち、うまくえさを食べたり水を飲んだりすることができないときには、流動食など作って食べさせてあげるとよいでしょう。
Ez症は人畜共通感染症です。
基本的に健康な方は感染しても発症することはないといわれていますが、清潔にして飼育するに越したことはありません。