カメ

kame1一口に「カメ」と言っても、実にさまざまな種類のカメがいます。

種類によって細かく飼育方法が異なり、飼育者によってもこだわる点が様々のようです。

ここでは一般的な飼育の注意点、及びよく見られる疾患等について記しておきます。

 


陸ガメ

ホリスフィールドリクガメ(ロシアリクガメと呼ばれることもあります)、ホシガメ、ケヅメリクガメ、ギリシャリクガメ、ヘルマンリクガメ、ヒョウモンリクガメなどがポピュラーです。基本的に草食です。

水棲ガメ

ミシシッピアカミミガメ、クサガメがポピュラーです。雑食性です。

ミシシッピアカミミガメの幼体はミドリガメ、クサガメの幼体はゼニガメと呼ばれて販売されていることが多いです。

本来ニホンイシガメの幼体がゼニガメと呼ばれていたのですが、野生のニホンイシガメの生息数は激減しており、これを販売していることはないと思われます。

 野生のニホンイシガメは絶滅に瀕しています。

代わりに増えているのがクサガメ、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)です。

ミシシッピアカミミガメは日本にいなかった種類(外来種)ですが、クサガメはもともと日本に存在していたものの、お祭りやペットショップなどで比較的安価に購入できる養殖個体(主に中国産)を、飼いきれなくなって捨ててしまう人が少なからず居ることが原因で、日本元来の生態系を壊してしまいました。

カメを捨てないでください。野生動物を自然に返すのとはまったく違います。「ペット」は飼い始めた時から、死ぬまでの一切の責任を人間が持たなければいけません。

 


主なカメの病気

【消化管寄生虫】

カメの消化管に寄生するのは、大きく原虫と蠕虫 (線虫、条虫、吸虫)に分けられます。

野生のカメには様々な寄生虫が寄生しており、体力のあるカメなら症状を出しませんが、体力のない状態では下痢、食欲不振など様々な症状を呈します。

そのような個体は自然下では淘汰されていきますが、人工飼育下にあるカメの場合は駆虫剤を用いて治療します。

また、糞便中に寄生虫の卵が排泄されることが多く、寄生虫の種類によってはそれが再びカメに感染する事もあるので、飼育環境をきれいに保つ必要があります。

【栄養障害】

 ビタミンが不足すると目が腫れてきたり、脱皮不全を起こしたりします。

また、ビタミン不足に加えてカルシウムとリンのバランスが悪い餌を与え続けることや紫外線不足などによって骨代謝異常 を起こし、甲羅がうまく成長せず、形がいびつになったり、やわらかくなってしまったりすることがあります。

甲羅の成長が遅れるのに加え、甲羅の中身や手足ばかりが先に成長してしまい、甲羅がより変形してしまったり、体が収まらなくなったりする事もあります。

【消化管通過障害】

カメの肛門の出口はひとつですが、糞便も尿も卵もそのひとつの出口から排出されるため、繁殖障害(卵詰まり)、尿路結石、砂利など異物の誤食 などによってどれかが出口をふさぐと、他のものも出なくなります。尿路結石は陸ガメ(特にケヅメリクガメ)に多く見られます。

【冬眠】

 野生の水棲ガメは冬眠する事が知られていますが、全てのカメが春に起きてくるとは限らないことはあまり知られていません

。冬眠は、冬にカメが動けなくなるほど気温が低下するために、やむを得ず体の機能を極端に(仮死状態とも言える程度まで)低下させ、体力を温存して、気温が上がって動けるようになるのを待つための行動です。

冬眠せずにすむならその方が好ましいといえます。

室内で飼育していても部屋の温度が極端に低いと、カメの活動性も体の機能も低下することになります。

【サルモネラ】

自然界のあらゆる環境に分布している常在菌です。

カメ自身に問題となる症状が現れることはほとんどありませんが、人への感染が問題視されています。

主に糞便が感染源となり、水棲ガメでは飼育水からも菌が検出されます。

人では消化器症状を示したり、過度な接触によっては死亡する危険性もあります。

普通に扱うには問題ありませんが、動物を触った後は必ず手を洗うことを心がけてください。

ご希望の方は当院で 検査センターに依頼して、糞便や飼育水でのサルモネラの培養検査も行っています。